受賞総評

お日様を浴びながら一日中おしゃべりに興ずる様を捉えた、さりげない人形である。
穏やかな日の光を、金箔に荒目の岩絵具を重ね抑制のきいた彩色で現わし、程のよい赤のシャツ、
柔和な表情、杖の使い方など巧みな表現である。作品から立ち上る温か味に、この老人の住む世界を
思い描くことができる。作者長年の人形への係りが見事に花開いた佳品である。