- 染織
絞り染訪問着「薫園」
- わずくりゅうすいもんかま
- 市瀬 史朗
- いちのせしろう
- 第37回日本伝統工芸展(平成2年度)
日本工芸会奨励賞
- 受賞総評縫締め、帽子、巻き上げ絞りなど、日常的な技法によって、早春の梅林の風情を表現した作品である。手慣れた技術とは言え、多数の梅花陰陽に斑なく染めあげた仕事は見事である。白上げの効果が馥郁たる梅の香を伝えているし、黄土の地色もそれを助けている。作者の狙いも梅の香を如何に絞り染で表すかにあった由で、巻き上げ絞りによる蕊の表現で、それを示している。淡彩でありながら豊艶さに充ちた秀作である。