- 漆芸
早春割貝食箱
- そうしゅんわりがいかざりばこ
- 田口 義明
- たぐち よしあき
- 第43回日本伝統工芸展(平成8年度)
東京都知事賞
- 受賞総評割貝を用いて、先の細長い草葉を力強く表現した飾箱で、 緊張感のある構図に新鮮さが感じられる。割貝は螺鈿技法のひとつである。 白蝶貝の極く薄い貝片を切り嵌めたもので、ひび割れが細かく入って 妖しく光り、繊細な美しさを醸しだしている。 表面は黒漆塗りではなく、染めた銀粉地の上に透漆を三回ほど塗り重ねた溜塗りで、 味わい深い漆肌は細密な割貝の魅力を見事に引き立てている。 作者は、雑草のもつ生命力の強さと美しさを表現したかったという。