• 漆芸
  • 沈金漆箱「一六夜」

  • ちんきんうるしばこ「いざよい」
  • 前 史雄
  • まえふみお
  • 重要無形文化財保持者
  • 第44回日本伝統工芸展(平成9年度)
    日本工芸会保持者賞
  • 技法
    沈金
  • 受賞総評
    従来、数多くの沈金技法を駆使して克明な自然描写を試みた作者が、技巧をおさえ、 心象風景の表現をめざした。かすかな月明かりに浮かびあがる萩の群生。 萩は線彫り、コスリと線の重ね彫り、そして点彫りで形どり、白金と松煙墨で彩色した。 その中に配した銀の露玉で月明かりを示すが、月そのものは蓋表には表さず、 上や右横の黒の余白で夜の闇を暗示する。 十六夜のためらう月は、箱の身の立上がりの内側におぼろに描く。 幻想的な余韻のこもった世界の表現に成功するとともに、器を用いる楽しみの効用も忘れていない。
  1. 公益社団法人 日本工芸会