• 陶芸
  • 志野壺

  • 伊藤 公洋
  • いとう こうよう
  • 第33回東海伝統工芸展(平成14年度)
    東海伝統奨励賞(丸栄賞)
  • 受賞総評
    我が国の陶磁史は、桃山にきて初めて日本人独自の感性と美意識による陶芸文化を開花させた。志野はその一つで、樹木にかかる雪のごとく柔らかく、膨よかな感じの長石質釉を施した“やきもの”である。当時は、山の斜面に築いた半地上の窯で熱効率が悪く、焼成には幾日も要し、それがえも言えぬ雅味を生み出した。
    現代作家の殆どは、近代工業の所産ともいえるガス窯を使用して、過去のプロセスを具現するための努力をしている。
    この作者も、恐らくガス圧のゲージを睨みながら炎を制御し、焼き上げには1週間前後を費やしているであろう。端正な形状に志野の特徴を巧みに生かした佳作である。
  1. 公益社団法人 日本工芸会