- 陶芸
鉄絵釉裏紅ムベ文大皿
- 大谷 昌拡
- おおたにまさひろ
- 第34回東海伝統工芸展(平成15年度)
名古屋市長賞
- 技法鉄絵
- 受賞総評「墨に五彩あり」とは水墨画での墨表現の多彩さをいいますが、
陶磁器に使用される弁柄(酸化第二鉄)も墨に負けない豊かな色合いを持っています。
この作品は柔らかな曲面の白磁の大皿に、里山に実るムベを器面という制約が無いかのように一杯に
描いています。近景の葉は鉄砂が浮かぶほど濃く強く、遠くの葉に弱い鉄分で出る青磁蜀に加え
僅かのコバルトを混ぜてはかなく表現しています。果実には発色が不安定な釉裏紅(銅絵具)を違和感なく
使って成功していて、鉄絵具とともに発色試験を不断に繰り返した努力がうかがえます。
骨描きにみられる細やかな観察と、のびやかな構図が調和した優品です。