- 染織
紬織着物「響」
- 平 祐子
- 第27回東海伝統工芸展(平成8年度)
岐阜高島屋(東海伝統奨励賞
- 技法紬織
- 受賞総評市松(あるいは石畳)は、最も古典的な、普遍性を持った文様です。グレーの濃淡に染め分けた単純な絣を、素直に積み重ねて文様は出来上がっていきます。作者は、「自分の着たい着物」を、何の邪心もなく織りました。市松のひとこまをグラデーションの横縞にしたこと、そこに作者の主張があります。
虚飾を排したこの色と形は、無機質の冷たい光を放つはずですが、紬の質感に支えられ、それは豊かさを内包したやすらぎへと転化しています。華麗・巧緻とは対極の無欲の作品づくりは、今後の仕事の原点となるものと思われます。