• 陶芸
  • 稲代川白彫文壺

  • 荒木 秀樹
  • あらきひでき
  • 第35回西部伝統工芸展(平成12年度)
    朝日新聞社大賞
  • 受賞総評
    受賞者は鹿児島在住の作家で初受賞である。記念大賞は一般公募、正会員の7部門の自由作品全入賞者を対象に首席に選ばれた作品であり、例年の一般公募の入賞者を対象に選ばれる金賞とは格の重みが異なる賞である。陶胎質の白薩摩の胎土と微細貫入の釉薬を酸化焼成した。「苗代川白彫文壺」は力強く黙して座す静かな風格の作品である。彫文の技法と様方は先人にその類を見るもので新しい技法ではないが、錦手金彩の花鳥風月文様の作が多い薩摩焼の中にあって、線刻文の変形とやや黄みを帯びた釉だまりの効果を生かした大作は昨年までの堆泥彫文焼締という一連の仕事とは異なる今回の変容ぶりには審査員一同驚いた。新しい仕事はその緒についた段階であり、今後の展開と飛躍を期待したい。
  1. 公益社団法人 日本工芸会