• 染織
  • 紬織着物「春を見る」

  • 加藤 玲
  • かとうれい
  • 第36回東海伝統工芸展(平成17年度)
    NHK名古屋放送局長賞
  • 技法
    紬織
  • 受賞総評
    植物染料の魅力は、透明感と鮮やかな色の美しさにあります。また、"織色"という経糸と緯糸とが重なり合ってできる織物だけが持つ色の美しさがあります。福木と梔子(黄色)、臭木の実(水色)を使い、その掛け合わせや媒染剤の違いで濃淡様々に染色した糸を、経緯共にぼかしの格子状に織られた作品からは、まるで万華鏡のような色の変化や広がり光までもが感じられ、春の花の香が漂ってくるようです。それぞれの色をより生かしているのは、"白"の効果的な使い方です。作者の色に対しての鋭い感性と冷静な目がそこにあります。また、紬織でありながら紬と感じられないくらいの繊細な織り方に、確かな織技術が充分に備わっていることを知ることができます。衣装としての染織の美しさは、格調と華やかさであると言われておりますが、この2つの要素を合わせ持ち、その上若々しさもあり、さらなる飛躍を期待します。
  1. 公益社団法人 日本工芸会