• 金工
  • 象嵌合子「出発」

  • ぞうがんごうす「たびだち」
  • 細谷 みちる
  • ほそや みちる
  • 第37回伝統工芸日本金工展(平成20年度)
    東京都教育委員会賞
  • 技法
    象嵌
  • 受賞総評
    タンポポには綿毛と呼ばれる種子があり、それが風にあおられいっせいに飛び散り、どこかに着地して、また花を咲かせる。この「ふわっと」飛んで行くところが作者の心情にオーバーラップする。それを写真やスケッチで描きとめ、デザイン化した。その過程で葉があまりギザギザになって騒がしくならないように抑えられた。また種子が飛び交い、空間を覆い尽くすように配され、そのことが現実にはないような夢幻的な空間を作り出した。蓋は四分一、身は赤銅によるが、蓋のかなりの部分を覆い尽くすかのような銀銷しの用い方がそうした色感を作り出し、作者の心情を大いに盛り上げるのである。そして、てんとう虫と綿毛の一部は銅を用いているが、その使い方も点景として実に効果的である。
  1. 公益社団法人 日本工芸会