受賞総評

山帰来の蔓と葉は酸化鉄で描かれ、その鉄が釉薬と溶け合い結晶となった鉄砂が、美しく魅力的な表情となっています。その独特な釉薬は、微妙な表情が出るように自分で調合した、結晶性乳濁釉を使っています。白い素地の磁器に、鉄絵の組み合わせは今までにない新しい磁器の表現です。まだ若い作者ですが、染付の作品も良くし、その制作姿勢に好感が持たれます。今回の作品は絵付を文様としてだけでなく、“やきもの”の素材感と結びつけた意欲的な佳作です。