技法

籃胎

受賞総評

丹念に編み上げられた籃の本体に、板状の大きな蓋がのる独特の姿をした箱である。籃が持つ特有のフォルムとディテールを生かしながら、隅々にまで気を配ってつくり込むことで、「静」というタイトルにふさわしく、ゆったりとしたおおらかさの中にキリッと締まった強さが生まれている。素材の選択に加え、装飾を少なくしたシンプルさが、作者が意図した形と構成の妙味を引き出したといえよう。今後も、作者独自の視線を大切に、想いを込めたこだわりのある作品を生み出して欲しい。（記唐澤昌宏）