• 陶芸
  • 葛紋大皿

  • くずもんおおざら
  • 福島由子
  • ふくしま よしこ
  • 第40回東海伝統工芸展(平成21年度)
    東海伝統奨励賞(丸栄賞)
  • 受賞総評
    酸化鉄を主成分とする下絵付けの顔料で、筆を使ってのびやかな文様を描くようになるのは、中国の唐時代と言われています。日本では桃山時代頃から、唐津や美濃でおこなわれ、朝鮮風の素朴なものから、志野、織部の影響を受けたものまで多様なものがあり、その後筆を使う多くの絵付け陶磁器が登場しています。この作品も、酸化鉄を主原料とした弁柄と、瀬戸の山から産出した鬼板や黄土を混ぜて下絵具として描いています。それを還元焼成することで変化に富んだ美しい発色を得ています。葛の花は、酸化銅を使い辰砂といわれる赤っぽい発色を得て、鉄の色合いとよく合った渋い色彩に纏めています。天然の原料を筆にのせて、心のままに表現してゆく鉄絵の技法は技術的修練を必要とし、表現として奥深い技法であります。葛の花、葉、蔓の感じを陶磁器文様として描きながら、絵画としての情感ある表現とする力量は、これからを期待させる若手作家であります。
  1. 公益社団法人 日本工芸会