- 染織
名古屋帯茜染「月雫」
- 山本 恵子
- やまもとけいこ
- 第39回日本伝統工芸染織展(平成17年度)
山陽新聞社賞
- 受賞総評織物を学ぶために米沢に移り住んで5年、ひたむきに制作に取り組む作者に、新人奨励賞はふさわしい。茜色に染まる夕日が地平線に消えた後、その光の余韻が残る間にわずかに顔をのぞかせる弓状の細い月。作者はこの感動を、素朴な手織の風合いをそのまま伝えるすくい織(綴織)で表現した。基本に忠実に手紡ぎした糸を、何度も繰り返し浸染してあたたかみのある茜色に染め、節のある太めの糸の味わいを生かして、ざっくりと織り上げている。