• 漆芸
  • 刷毛目朱留塗手箱

  • 新井 吉雄
  • あらいよしお
  • 第26回東海伝統工芸展(平成7年度)
    日本工芸会賞
  • 受賞総評
    この箱は、桐材で素地を作り、布着せ、本堅地、黒中塗りを施し、その上に朱溜の塗りでしあげています。この朱溜は、本朱の紅漆を塗り、その上に木地呂漆と朱合漆で調和した半艶消し半透明の漆を塗り、下の紅色がほんのりと透けて見える工夫をしています。
    この作品の注目すべき所は、朱溜の塗りと同時に、白漆を縦に長いヘラで、穂の長い刷毛で左右交互に、文様を施している点です。これはやり直しの出来ない技法であるにもかかわらず、白漆の文様がバランス良く描かれています。
    塗り立ての柔らかい、麗しい光沢をもった漆独特の肌に、白漆の刷毛目の文様が控え目に施され、漆塗りならではの美しい気品のある秀作です。
  1. 公益社団法人 日本工芸会