• 漆芸
  • 蒔絵箱「春海」

  • まきえばこ「しゅんかい」
  • 寺西 松太
  • てらにししょうた
  • 第25回日本伝統漆芸展(平成19年度)
    輪島漆芸美術館奨励賞
  • 技法
    蒔絵
  • 受賞総評
    黒漆塗の被せ蓋造り飾箱。器形や塗り肌にみられる練達の技に加え、金・銀の平目粉による伝統的な研出蒔絵技法と蜻蛉(せいろう)塗(変り塗の一種)の手法を併用して表出した海磯の洗練された意匠が効果的である。蓋表は漆の盛り上げで波文をあらわし、波頭を大小の銀粉で際立たせた海浜の景。皿側面には春の息吹きを感じさせる漁場の海中のさまを配するが、回遊する烏賊(いか)の群れや細魚(さより)の背には白蝶貝とあわび貝の細片が煌(きらめ)き、漆黒の地に独特の光彩を放つ。加飾技法と明快な意匠がみごとに調和した佳品。(記河田貞)
  1. 公益社団法人 日本工芸会