木竹工人間国宝のわざ紹介

木工木目の美しさをいかし、人々の生活に役立つものをつくるのが木工芸です。木工芸の技法に指物、刳物、挽物、曲物などいろいろあり、作品を作るための材料選びもとても大切な工芸です。使用するのは銘木と呼ばれる何百年と育った大きな木や、特別に珍しい木目の木、神代木と呼ばれる長い間土に埋もれていた木、外国から運ばれてきた珍しい木を使うこともあります。それらの木材は作品に割れやゆがみが出ない様に制作する前に十分乾燥させてから使います。

竹工日本の風土に育まれた竹は種類が多く、約600種類が生育しており、竹工芸ではその内約10種類を使用しています。竹は繊維が細く、いくらでも細く割ることができますが、とても難しい作業です。竹を外側からさいていく板割りと竹の中心に向かって割っていく柾割りがあります。そうしてできた竹ひごを編み上げて作る「編物」と竹ひごの線をいかして組み上げたパーツを組み合わせて作る「組物」とがあります。

木工芸もっこうげい

木材を用いて加工する技法、またはその製品。木工芸の技法は、器物を成形する方法によって刳物(くりもの)、挽物(ひきもの)、指物(さしもの)、曲物(まげもの)などがある。刳物は、木塊を鑿(のみ)鉋(かんな)などで刳って器物を作る技術である。挽物は、木塊を轆轤や旋盤を用いて成形する技術で、椀や鉢などの同一形態品の多量生産に適する。指物は、板材や棒状材を組み立てて器物を作る技術で、木を差し込んで作ることから指物、差物という説が有力である。曲物は、檜や杉の薄板を円形や楕円形に曲げて器物を作る技術である。素材は加工法によって適材が選ばれ、針葉樹では檜、杉、松など、広葉樹では桐(きり)、朴(ほお)、桂(かつら)、欅(けやき)、楓(かえで)などが用いられ、紫檀(したん)、黒檀(こくたん)、黒柿(くろかき)などの高級材も用いられる。

このわざの保持者

川北 良造かわきた りょうぞう

1994年保持者認定
黒柿神代桂双友盛器

中川 清司なかがわ きよつぐ

2001年保持者認定
神代杉木画箱

村山 明むらやま あきら

2003年保持者認定
欅緋拭漆舟形盛器

須田 賢司すだ けんじ

2014年保持者認定
楢と楓の卓「校倉」

竹工芸ちくこうげい

竹を素材に用いて加工する技法、またはその製品。竹工芸の技法は、丸竹物(まるたけもの)と編組物(へんそもの)とに分類される。丸竹物は円筒形のままの竹を用いるもので、編組とは「編み」と「組み」の技術で、細く割ったひごを編む四つ目、六つ目、網代、ござ目、縄目などの編む技法と、竹ひごの線を活かして組み合わせる組物の技法がある。日本の竹工芸は、縄文時代晩期(約3000年前)の青森県是川中居遺跡から「朱漆塗籃胎漆器」(重要文化財)が出土している。東京国立博物館の国宝「竹厨子」(法隆寺献納宝物)は奈良時代(8世紀)に中国唐文化の影響を受けて急速に発展した竹工芸の足跡を示す作品である。江戸後期には煎茶道の興隆と共に唐物写しの精緻で技巧的な編み物が行われた。

このわざの保持者

藤沼 昇ふじぬま のぼる

2012年保持者認定
網代編盛籃「一空」
  • 【出典】「伝統工芸ってなに?-見る・知る・楽しむガイドブックー」編:公益社団法人日本工芸会東日本支部、発行:美術書出版 株式会社 芸艸堂新規ウィンドウで開く
  • 「日本の人間国宝・伝統工芸」監修:公益社団法人日本工芸会、発行:上海世久非物質文化遺産保護基金会発行、協力:公益財団法人笹川平和財団笹川日中友好基金
  • 2023年3月31日時点の認定情報を元に掲載