「刺繍」伝承者養成技術研修会(2010 - 2011 年)

福田喜重先生による重要無形文化財
「刺繍」の研修会

講師紹介

  • 福田 喜重
  • ふくだ きじゅう
  • 重要無形文化財「刺繍」保持者

<研修会について> 刺繍は、針を上下に動かす単純作業の繰り返しで、つい目的を忘れ技術偏重に陥りやすい。そこで作業の巧拙のみを競い合い、また狭い視野に陥ることのないように創作に重きを置き、刺繍の醍醐味を発揮出来るよう、さらに伝承者それぞれの特性を生かすことを心懸けた。未来に希望をもち、一層創意工夫をおしまず、今回得た経験をもとに、これこそが伝承者研修の成果と、生涯現役で活動し続けて欲しい。伝統こそが文化の基盤であります。

研修会映像記録(ダイジェスト)

本編は約30分。DVD(4,400円)またはBlu-ray(6,600円)にて頒布中です。
詳細は、日本工芸会事務局までご連絡ください。
主催:公益社団法人日本工芸会(TEL:03-3828-9789)

実施概要

  • 期間
    2010年4月20日、5月22日、8月30日~31日、9月14日、10月16日、11月16日、12月14日、2011年1月9日 /
    2011年4月19日、5月16日、8月21日、9月28日、10月22日、2012年1月12日
  • 会場
    • 福田喜重氏のアトリエ(京都、北大路)
    • (株)越前屋 8階会議室(東京都中央区、京橋)
    • グランドアーク半蔵門(東京都千代田区、半蔵門)
  • 講師
    福田喜重
  • 助手
    2名
  • 受講者
    10名

実施スケジュール

2010年4月20日(火)
  • 研修内容説明
2010年5月22日(土)
  • 肘板の使い方説明、基礎的技術(糸の扱い方)の実習
2010年8月30日(月)
  • 研修課題の額のテーマを「四季」に決定、デザインの参考資料・作品を閲覧
2010年8月31日(火)
  • 研修課題の額のテーマが「四季」に決定、デザインの参考資料拝見
2010年9月14日(火)
  • 糸縒の実技指導、桂縒の実技指導
2010年10月16日(土)
  • デッサンに基づき、構図、色彩、繍技の指導
2010年11月16日(火)
  • デザイン画の指導、布に下絵を描くための実技指導、銀座カワムラにて布地の見分け方指導
2010年12月14日(火)
  • デザイン画の批評とデザインの決定
2011年1月9日(日)
  • 渋紙による型彫りの実技指導、下図の写し方の実技指導
2011年4月19日(火)
  • 二年時の研修内容説明、デザイン画に基づいた繍法と色彩の決定、台張りの実技指導
2011年5月16日(月)
  • 本番用台張りによる繍法と色彩の指導
2011年8月21日(日)
  • 相良縫い・管縫い・芥子縫いなどの繍技についての実演・説明
2011年9月28日(水)
  • 渋紙の使い方を伝授
2011年10月22日(土)
  • 京都北大路の先生のアトリエ見学、渋紙の型彫りの実技指導、下絵の描き方の実技指導、仕上げについての最終指導
2012年1月12日(木)
  • 完成作品の最終講評

講師のひとこと

伝承者養成研修講師を命じられ、2人の助手と正・準・研の工芸会員13名が延べ15回、2年間、欠席者1人もなく実施出来たことは稀有なことと思います。助手、内田、阿部の両氏と会員10名の人柄にも恵まれた研修会は比較的高年齢で生活実践も豊富で今後更に進化するものと確信いたしました。技術の研鑽はもとより、素材や道具の入手や手入、保管の難しい現状を察知、確保と改善、また情報の交換等、真剣に話し合い会員の親睦を深めることの重要性も語り合えました。
いたずらに領域的になったり排他的になる自己偏見の無意味さを悟り、文化遺産軽視を省み、「四季の国日本」の豊かな自然感情の中、尚一層の創造的進化への意欲が会員諸氏にも湧いてきたことも大いなる成果でした。
「継続は力なり」未来を信じて続けてこそ、伝承者の責務を果たせると思います。終わりに好機を頂き種々のお世話頂いた文化庁と日本工芸会及び事務局、文化財保存事業委員会の皆様方に厚く御礼申し上げます。