「白磁」伝承者養成技術研修会(2021 - 2022 年)

前田昭博先生による重要無形文化財
「白磁」の研修会

講師紹介

  • 前田 昭博
  • まえた あきひろ
  • 重要無形文化財「白磁」保持者

<研修会について> 白磁は中国から伝わってきた技法で、絵付けや色彩を加えないで無色の釉を掛けた磁器です。表現方法が限られるだけに、轆轤成形による造形力と器に掛かる釉の調子が重要になります。
1年次は轆轤成形を行い、その後タイミングを見計らい指で押さえて面をつくり、2年次は乾燥したものを削り面取壺をつくりました。白磁の持つ特徴と可能性は何か、自らに問いかけながら自由で創造的な作品づくりをしてもらいました。

実施概要

  • 期間
    2021年11月15日~20日 /
    2022年11月14日~19日
  • 会場
    前田昭博工房 やなせ窯
  • 講師
    前田昭博
  • 助手
    2名
  • 受講者
    6名

実施スケジュール

2021年11月15日(月)
  • 1. 自己紹介 白磁技法 面取り等作業スケジュール確認
    2. 受講者各自、土揉み ろくろ成形 道具(こてへら)作り
2021年11月16日(火)
  • 1. 前日の改良点 技法の説明
    2. ろくろ成形のポイントを講師デモンストレーション
    3. 受講者各自、ろくろ成形 道具作り
2021年11月17日(水)
  • 1. 前日の改良点と陶芸制作要所、説明
    2. 講師ろくろ成形後の面押さえ(面取り)のデモンストレーション
    3. 陶磁土の乾燥具合確認後、受講生各自面抑え作業
    4. 鳥取県工芸作家との交流 意見交換会
2021年11月18日(木)
  • 1. 石谷家住宅見学と講師作品鑑賞
    2. 講師によるろくろ削り 面取り削りのデモンストレーション
    3. 受講生各自、面押さえ 面取り削り作業
2021年11月19日(金)
  • 1. 講師、面取り削り指導 受講生各自面取り削り作業
    2. 福島善三氏(小石原焼 重要無形文化財保持者来訪)による作品指導
2021年11月20日(土)
  • 1. 次年度に使う釉薬の選定。作業工程の確認
    2. 乾燥具合の確認の後、受講生各自面取り削り、仕上げ作業
    3. 次年度の作業工程の確認後、後片付け 掃除
2022年11月14日(月)
  • 1. 2年次の制作についての説明
    2. 削り作業、ポイントを講師デモンストレーション
    3. 受講者各自、削り作業
    4. 地元作家を交えての交流会 
2022年11月15日(火)
  • 1. 受講者各自、削り作業
    2. 素焼き窯詰め・素焼きスタート
2022年11月16日(水)
  • 1. ギャラリーカフェokudan、因州中井窯、及び花輪窯見学
    2. 鳥取県立博物館で学芸員による作品解説
    3. 白兎神社 砂像制作見学、工程作業、創作指導
2022年11月17日(木)
  • 1. 受講者各自、削り作業、 削り作業を踏まえての土練り、ロクロ成形作業
    2. 明日の釉薬掛けの準備
2022年11月18日(金)
  • 1. 素焼きあげ、素焼き掃除、講師による釉薬かけデモンストレーション
    2. 作品内側に釉薬をかけて強制乾燥、乾燥後に外側の釉薬かけ
2022年11月19日(土)
  • 1. 釉薬掛け後の仕上げの指導
    2. 釉薬仕上げ、窯詰めの準備、後片付け
    3. 窯詰め作業 作業後掃除

講師のひとこと

令和3年と4年の2カ年に渡り、合わせて12日間の「白磁」伝承者研究会を研修生6名で行いました。
最初に、造形の重要性と白磁の持つ特性や魅力について話をしました。そして、土揉みのあと壺や花瓶などのろくろ成形を行いました。翌日は、壺の硬さを見計らいながら指の平で抑えるようにして面を取りました。ろくろ成形した器に、自らの考えで面取りすることにより独自な造形になる体験をしてもらいました。
2年目は、乾燥した壺を削る作業に入りました。磁器は硬くなってからも削れる性質を活かして、カンナで時間をかけ入念に面を削り出してもらいました。そして、素焼きのあと、釉薬を掛けて還元焼成を行いました。釉薬は、柔らかな風合いのマット釉を掛けることで、白磁の持つ特徴がよく現れたと思います。
日程的に窯出しが研修会後になってしまい、焼き上がった作品について研修生と話し合う時間が持てなかったことが残念でした。