「木工芸」伝承者養成技術研修会(2004 - 2005 年)

中川清司先生による重要無形文化財
「木工芸」の研修会

講師紹介

  • 中川 清司
  • なかがわ きよつぐ
  • 重要無形文化財「木工芸」保持者

<研修会について> わが国では多種で豊富な樹木に恵まれ、木工の技術は工具の改良と共に飛躍的に発展して、今日に伝承されています。
指物(さしもの)の技法は一般的に直角を基本としますが、それに桶指物で使う円筒形の部材の接合、矧ぎ合わせ技法を応用した「正直型(しょうじきがた)」による寄せ木の「柾合せ」を体験する研修会としました。
異なった技法の融合が、さらにあらたな展開を生み出す契機となることを願っています。

実施概要

  • 期間
    2004年11月3日〜7日 /
    2005年11月5日〜9日
  • 会場
    京都市内中川宅(浄土寺真如堂付近)
  • 講師
    中川清司
  • 助手
    2名
  • 受講者
    7名

実施スケジュール

2004年11月3日(水)
  • 柾合せの基本形と別に“曲線に寄せる”中川先生のオリジナルの技法の説明
2004年11月4日(木)
  • 図案制作
2004年11月5日(金)
  • 切削角度の決定と寸法取り(墨付け)
2004年11月6日(土)
  • バンドソウ(電動帯鋸)での切断、仮組み、ソクイの指導
2004年11月7日(日)
  • 木画のピースが組み上がり
2005年11月5日(土)
  • 鉋がけ
2005年11月6日(日)
  • ホゾの墨付け作業、蟻組の微妙な調整
2005年11月7日(月)
  • ソクイの硬さの指導
2005年11月8日(火)
  • 槍鉋による裏すき、組み上がった箱の研磨作業
2005年11月9日(水)
  • 講評

講師のひとこと

この度の伝承者養成研修会は、受講生7名、聴講生2名、年間5日間2年計画で行い、神代杉を材料として主に「柾合せ」の技法と木地仕上げをテーマに宿題を含め木画の作品の制作を体験する事とした。
各支部から指物の研修生は技術も熟知し優秀なメンバーで直線的な指物と円形からの発想の柾合せとの異なる寄木方法にも理解が早く、互いに見聞しながら方法の違いを発見いたし隣り合わせで作業する過程は1次年度は戸惑も感じられたが、2次年度は各自の仕上げ状況が異なり共通の疑問が話題となり和やかな雰囲気で奥深く実習が進んだ。
歴史ある木工芸で道具や技法の伝承を受け・伝える事は、各地で練磨され蓄積した技術と融合し、次へのステップに結びつく事を期待するものである。短期間ではあったが、愉しい研修会で、経験、体験になればと願います。