
講師紹介
- 北村 昭斎
- きたむら しょうさい
- 重要無形文化財「螺鈿」保持者
<研修会について> 研修会には日本工芸会正会員、準会員合わせて9名が各地から参加してくれました。技法の研修と共に、文化財の宝庫である奈良の地に伝わる厚貝螺鈿の名品、国宝や重要文化財、復元模造などを春日大社、正倉院事務所、大和文華館で見学し、先人達がいかに厚貝螺鈿の美しさを表現したかを学びました。第1年次は彫込式、埋込式の基本技法習得のために習作の手板を制作しました。第2年次はその応用として各人が得意とする技法に螺鈿を組み合わせ、小箱を制作しました。この経験を活かし、螺鈿の世界がより広がることを望みます。
実施概要
- 期間2007年11月19日~23日 /
2008年6月16日~20日、10月31日 - 会場北村昭斎工房(奈良市内)
- 講師北村昭斎
- 助手3名
- 受講者9名
実施スケジュール
2007年11月19日(月) |
|
---|---|
2007年11月20日(火) |
|
2007年11月21日(水) |
|
2007年11月22日(木) |
|
2007年11月23日(木) |
|
2008年6月16日(月) |
|
---|---|
2008年6月17日(火) |
|
2008年6月18日(水) |
|
2008年6月19日(木) |
|
2008年6月20日(金) |
|
2008年10月31日(金) |
|
講師のひとこと
それぞれ独自の技法を修得し作品制作を行っている9名が全国支部から参加した。薄貝螺鈿の経験はあるものの厚貝螺鈿は未経験であった。厚貝螺鈿の奥深い輝きと美しさを先人たちが如何に表現してきたかを識る為に初年度は正倉院宝物の螺鈿箱と春日大社蔵国宝蒔絵琴の復元模造、国宝金地螺鈿毛抜型太刀を見学。その後厚貝螺鈿の基本技法である彫込式、埋込式の二技法を手板で実習制作、各々の持つ特色と技法の問題点について研修した。二年次は大和文華館蔵、伝光悦作、沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒と李朝螺鈿、葡萄螺鈿衣装箱を見学。優品に見られる夜光貝や鮑貝が黒漆、蒔絵と組み合わされて意匠の美しさを発揮している様を感じてもらうのが目的であった。貝加工業者の工場も見学した。これらの研修を活かし応用課題として各人の得意とする技法と組み合わせ小箱制作をした。毛彫りと貝と漆下地の境界の処理に苦労が見られたが、多様な技法との組み合わせにより新しい表現方法の可能性が感じられた。この経験を基にして螺鈿表現の世界の拡がる事を期待したい。