講師紹介

- 森口 邦彦
- もりぐち くにひこ
- 重要無形文化財「友禅」保持者
17〜18世紀の日本で浮世絵と共に空前の創造を繰り広げた衣裳美の世界を〈友禅〉と呼びます。この革新的な精神の軌跡を求め、狭義の手わざとしての友禅にこだわらずに研修生各自が展開している技を尊重しつつ、きもの独特の造形に主眼を置いた研修会にしたいと考えました。
〈友禅〉誕生前後について歴史的な見識を深め、近代化の過程で成し得た工業化を見聞し、〈蒔糊〉となった撒糊については体験としての作業に止めおきました。
実施概要
- 期間2019年4月13日~18日 /
2020年11月7日~12日 - 会場京都芸術センター、森口先生宅他
- 講師森口邦彦
- 助手2名
- 受講者10名
実施スケジュール
- 京都芸術センターに集合し会場準備、受講生が持参した作品をもとにディスカッション、森口先生作品をもとに意匠デザインの実習
- 京都芸術センター主催の公開講演会「初期友禅のダイナミスム」に参加及び切畑健氏(京都国立博物館名誉館員)の講義とディスカッション
- 京都国立博物館で初期友禅の実作の特別観覧し、同館学芸員の山川暁氏と切畑健氏による講義とディスカッション
- 千總文化研究所で所長の加藤 結理子氏による講義と大正・昭和の友禅衣装実作の特別観覧。京都国立近代美術館で友禅名品の特別観覧
- 森口邦彦先生ご自宅にて、中川華頓先生、森口華弘先生についての映像資料と実作の特別観覧
- 森口邦彦先生ご自宅にて森口先生の実作や草稿の特別観覧。制作プロセスについての講義とディスカッション。次年度への準備
2019年4月13日(土) |
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2019年4月14日(日) |
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2019年4月15日(月) |
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2019年4月16日(火) |
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2019年4月17日(水) |
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2019年4月18日(木) |
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- 受講生が持参した作品や縮図等をもとにディスカッション及び指導、京都国立近代美術館「人間国宝 森口邦彦」展を講師の解説のもと鑑賞
- 午前 希望者は草稿づくりなどの作業、午後 京都芸術センター主催の公開講演会「初期友禅の歴史と魅力」に参加。本研修会全般に協力頂いている切畑健氏(京都国立博物館名誉館員)、河上繁樹氏(関西学院大学文学部教授)、高木香奈子氏(同博物館)の3名による講義
- 蒔糊の製法と使用法の実践、三度黒染の体験
- 講師の指導のもと草稿作りの作業を継続、小倉淳史氏宅(染織作家・日本工芸会正会員)で、同氏所蔵の元禄三年銘のある打敷「松柳模様小袖裂打敷」等を所蔵品を鑑賞
- 午前 京都国立近代美術館「森口邦彦」展の展示入れ替え後の作品を鑑賞、午後 京都芸術センターで 草稿づくり作業の継続
- 草稿づくり作業等
2020年11月7日(土) |
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2020年11月8日(日) |
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2020年11月9日(月) |
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2020年11月10日(火) |
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2020年11月11日(水) |
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2020年11月12日(木) |
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講師のひとこと
浮世絵と共に江戸時代に空前の創造を繰り広げた衣装美の世界を〈友禅〉と呼びます。この革新的な精神の軌跡を求めて、造形のあり方に主眼をおいた研修会としたいと思いました。京都国立博物館の歴代の染織担当者からの多大な協力を得て、初期友禅に関する見聞を深めることにはじまり、京都国立近代美術館及び千總文化研究所の協力によって友禅の近代への展開にも意識を広げることに意を用いました。もちろん〈蒔糊〉となった〈撤糊〉について素材の製法、用法の具体的な作業は体験できるようにしましたが、研修者各位の自前の技法とどのようにかかわれるのか、時間を要するものと思われます。
昭和48年・49年・50年度に父華弘が行いました同研修会に続くものとして、当時の資料も用いながら日本工芸会活動の連続性も意識しました。ご協力下さいました関係者のみなさまに改めて御礼を申し上げます。