「竹工芸」伝承者養成技術研修会(2017 - 2018 年)

勝城蒼鳳先生による重要無形文化財
「竹工芸」の研修会

講師紹介

  • 勝城 蒼鳳
  • かつしろ そうほう
  • 重要無形文化財「竹工芸」保持者

<研修会について> 竹は身近にある素材で、古い歴史があります。完全な形で今も保存されている作品は、正倉院宝物の花籠があります。現代では素材を生かした美術工芸が盛んになり、竹工芸は世界中で評価が高まり愛されております。今回の研修会では2メートル余の真竹を用いて柾割技法を応用しますと創作域が広がります。研修会の技法を活用し、新たな表現で発表されますことを期待いたします。

研修会映像記録(ダイジェスト)

本編は約30分。DVD(4,400円)またはBlu-ray(6,600円)にて頒布中です。
詳細は、日本工芸会事務局までご連絡ください。
主催:公益社団法人日本工芸会(TEL:03-3828-9789)

実施概要

  • 期間
    2017年10月27日~11月1日 /
    2018年11月5日~10日
  • 会場
    大田原市ふれあいの丘シャトー・エスポワール
    那須野ヶ原温泉ホテルアオキ
  • 講師
    勝城蒼鳳
  • 助手
    2名
  • 受講者
    8名

実施スケジュール

2017年10月27日(金)
  • 自己紹介の後 柾材の作り方の説明。竹磨きの後、木賊による磨きの説明。支給された新しい銑台の使い方の説明。
2017年10月28日(土)
  • 柾材料の下ごしらえ 丸竹から竹割まで。新しい銑台を使用して各自銑引きを行う。
2017年10月29日(日)
  • 柾割りの応用について解説。千集編みの束ね方の見本を示す。作業工程ごとに各自順番に作業を行う。
2017年10月30日(月)
  • 柾割り材の銑引き作業を終日行う。各自厚み0.35mm~0.4mmまで仕上げる。 夕方より「きみの湯」にて懇親会。
2017年10月31日(火)
  • 午前中銑引き作業を終えた研修生4名と午後3名が下染めを行う。勝城先生による2回目の拭き漆作業を見学(奥久慈産の国産漆を使用)。
2017年11月1日(水)
  • 那須野が原博物館にて勝城先生作品4点を熟覧後、各自今回の受講感想を述べる。
2018年11月5日(月)
  • 最初に文化庁のDVDで勝城蒼鳳のわざ「やすらぎの花」と先生の初期より現代までの作品画像を観る。午後より先生の把ね編作品を解説と共に熱覧する。
2018年11月6日(火)
  • 講習生8名が作品の制作意図を延べ、先生の講評を聞く。午後より柾割作品の染色・擦り漆・古色だしの技法を教わる。
2018年11月7日(水)
  • 竹工芸で使用する主な材13種ついて材質・使用法名称に関して詳しい説明を受ける。 午後より講習生の作品造りへの想い等をインタビュウ形式で語る。
2018年11月8日(木)
  • 栃木県立美術館にて学芸員の案内で館内を巡り、別室にて館所蔵の竹工芸作品を熟覧する。午後より同じく那須与一伝承館にて館所蔵の竹工芸品を熱覧する。
2018年11月9日(金)
  • 全員の作品を前に集合写真を撮る。勝城先生の作品2点の説明を受ける。午後より各自の作業を行う。夕方より「きみの湯」にて懇談会を行う。
2018年11月10日(土)
  • 午前中は栃木県立美術館の感想と今回の講座に参加して各自の思いを述べ2年に渡る講習を終える。

講師のひとこと

竹工芸の伝承にあたり柾割材に依る千集把ね編を選びました。この技法は古くは華籃などがありますが、栃木市出身の飯塚家で柾割に依る束編で竹工芸を発展されました。その技を竹工芸伝承養成研修会で飯塚小玕齋先生が柾割の技法を伝えて下さいました。その時参加されました佐川素峯さんと田中旭祥さんに助手をお願いし、二ヵ年に亘り研修会を行いました。一年目には二メートル余の柾割と先染と把ね編の技法と参考の為の見学を那須野が原博物館でいたしました。二年目は把ね編と漆仕上げの研修と柾割技法の作品を栃木県立美術館で見学し、大田原市与一伝承館では多数参考作品を鑑賞いたしました。この研修会で体験されました柾割技術と把ね編での造形法を基に、新たな造形を試みられまして日本伝統工芸展に発表されますことを期待いたします。
この度の研修会に快くご協力下さいました関係各位に衷心より厚くお礼申し上げます。