「鍛金」伝承者養成技術研修会(2016 - 2017 年)

田口壽恒先生による重要無形文化財
「鍛金」の研修会

講師紹介

  • 田口 壽恒
  • たぐち としちか
  • 重要無形文化財「鍛金」保持者

<研修会について> 金工には鋳金、鍛金、彫金という技法があり、単独、またはそれぞれの技法を使いながら作品が造られています。
今回の材料は四分一という金属で、鍛金のなかでも一般的によく使われる絞りの技法ではなかなか形に成らず、材料の伸びる性質を利用して打ち上げ(鎚上げ)という技法で作品を製作しました。金属の展延性を利用しての造形の技術です。

研修会映像記録(ダイジェスト)

本編は約30分。DVD(4,400円)またはBlu-ray(6,600円)にて頒布中です。
詳細は、日本工芸会事務局までご連絡ください。
主催:公益社団法人日本工芸会(TEL:03-3828-9789)

実施概要

  • 期間
    2016年10月3日~8日 /
    2017年10月2日~7日
  • 会場
    東京金銀器工業協同組合研修所(東京都台東区)
    原金彩加工所(2年次最終日のみ、東京都文京区)
  • 講師
    田口壽恒
  • 助手
    2名
  • 受講者
    5名

実施スケジュール

2016年10月3日(月)
  • 自己紹介 技法の説明、デザインの決定、工具の調整、地金取り、糸鋸にて作業開始
2016年10月4日(火)
  • 鎚上げによる加工 少しづづ深く成る
2016年10月5日(水)
  • 同上の作業 歪を取る指導
2016年10月6日(木)
  • 鎚上げ 形成に入る
2016年10月7日(金)
  • 成形 均しを行う
2016年10月8日(土)
  • 装飾を入れる、道具にて線でつける、外側の磨き
2017年10月2日(月)
    • 田口先生より2年次の内容と完成目標について説明
    • 前年度の宿題となっていた外側の炭研ぎを終えた受講生は当金で銅体表面を均す作業を行う。均しを終えた研修生から内側の炭研ぎに入る。また、歪みを取るための焼き鈍しを行う受講生もいた。
2017年10月3日(火)
  • 均しをする受講生、内側の炭研ぎをする受講生共にそれぞれの作業を継続。
2017年10月4日(水)
  • 均しを終えた受講生から内側の炭研ぎに移行。
2017年10月5日(木)
  • 受講生全員が炭研ぎに入る。
2017年10月6日(金)
  • 受講生全員が炭研ぎを継続し、炭研ぎの最終段階で胴刷り刷毛での炭研ぎをして午前中で完了。午後にかけて全員が所定の目標に到達し、仕上げ前の完成となった。翌日に仕上げを行う原彩金加工所の場所確認と仕上げ前の前処理のために、受講生と助手の田口典子氏が、同所に作品を届ける。
2017年10月7日(土)
  • 原彩金加工所に集合。仕上げ師の原氏の指導のもと、銅鍋に水を張り硫酸銅、緑青の薬品を投入して熱し、少量の梅酢を加えて下準備を整え、作品を入れて、仕上げ工程となる煮色作業を行った。以上で研修内容がすべて修了した。

講師のひとこと

研修会の会場が定まらず苦労したが台東区上野に有る、金銀器工業協同組合の会議室を利用させていただき、行うことが出来ました。
平成二十八年十月三日、会場に集い、研修を始めました。鍛金に於ける打ち上げは、金鎚と金床とで金属の固まり、板等を打ち続けることでいろいろの形や物を造る技術です。
研修生には二十一センチ角の四分一の板を支給し、各自の考えにより地金を切り、叩き始めました。縁を叩かず、中心に向かって延べる様に打っていきます。単純な作業ですが力の入れ具合で変化の仕方が違ってきます。
研修生はこの作業にはすぐに慣れ、順調に進んだようでした。各々が同じ条件の材料で同じような作業で、作品を造りましたが皆それぞれに違う形へと進んでいくのを見て、大変興味のあることだと感じました。
無事に終えることが出来、関係各位に御礼を申し上げます。