「釉裏金彩」伝承者養成技術研修会(2015 - 2016 年)

吉田美統先生による重要無形文化財
「釉裏金彩」の研修会

講師紹介

  • 吉田 美統
  • よした みのり
  • 重要無形文化財「釉裏金彩」保持者

<研修会について> 幕末、永楽和全や京都に修行に出かけた陶工達が金沢に金彩技法を伝えると、素材の金沢金箔と相まって多種多様な金彩色絵磁器が生産された。大戦後、改革運動のなかで竹田有恒氏が釉裏金彩の手法を考案し、好評を得てこの技法が陶工達に関心を持たれるようになった。金箔の上から透明釉を施すことで金箔が剥がれにくくなる。また金箔独特の強い輝きが抑えられる効果があり、以来この技法の作品が展覧会で見られるようになった。截金のデザインや地色釉との融合など改良の余地のある手法なので、今後の創意工夫に期待したい。

研修会映像記録(ダイジェスト)

本編は約30分。DVD(4,400円)またはBlu-ray(6,600円)にて頒布中です。
詳細は、日本工芸会事務局までご連絡ください。
主催:公益社団法人日本工芸会(TEL:03-3828-9789)

実施概要

  • 期間
    2015年9月7日~12日 /
    2016年9月12日~17日
  • 会場
    石川県立九谷焼技術研修所(石川県能美市)
  • 講師
    吉田美統
  • 助手
    1名
  • 受講者
    7名

実施スケジュール

2015年9月7日(月)
  • DVD鑑賞、技法の説明、下地作り
2015年9月8日(火)
  • 1回目の焼成、金箔の裁断、文様の型おこし
2015年9月9日(水)
  • 素地の窯出し、素地の磨き、金箔の貼り付け
2015年9月10日(木)
  • 2回目の焼成、金箔の製造工程の見学および説明
2015年9月11日(金)
  • 釉薬の準備、2回目の窯出し、釉薬の塗布、3回目の焼成
2015年9月12日(土)
  • 久谷焼資料館での研修、千圃堂の見学、3回目の窯出し、合評会
2016年9月12日(月)
  • 研修会参加者の作陶に対する思いをプレゼン、久谷焼技術研修所の生徒との交流会、下地の仕上げ
2016年9月13日(火)
  • 1回目の焼成、素地に合わせて紙型をおこす
2016年9月14日(水)
  • 金箔の裁断・貼り付け、けがき、金彩の作業
2016年9月15日(木)
  • 前日に引き続き、金箔の裁断・貼り付け、けがき、金彩の作業、2回目の焼成
2016年9月16日(金)
  • 2回目の窯出し、金箔のコーティング、上薬の塗布、3回目の焼成
2016年9月17日(土)
  • 久谷焼美術館の見学、3回目の窯出し、合評会

講師のひとこと

「釉裏金彩」という技法は戦後に見いだされた、金箔を使用した陶磁器の加飾法です。「金襴手」の技法は中国明朝時代からのもので日本に伝えられました。幕末に永楽保全の指導により、九谷焼の生産に使用されるようになりました。
今回の研修にあたり、全国の若い方々を選定し、一年次、二年次とも九谷焼技術研修所を使わせて頂きました。一年目は主に金箔の扱い方を中心に研修を行いました。金沢の金箔を扱っている会社を訪問し、金箔製造を見学、九谷焼美術館などを見学しました。二年目は図案化し切り取った金箔を貼り付け焼成、釉薬の調合や三度目の焼成を行い、最終工程まで行うことが出来ました。研修所からの依頼により、トークショーを行い、若い生徒たちにとっても大きな刺激になったようです。二年間、二週間という短い時間では技術の理解、習得は難しかったのではと思います。
この技法が受講者のこれからの作陶の加飾の部分に活用されることを祈っております。