- 木竹工
栃拭漆重箱
- とちふきうるしかさねばこ
- 矢野坂 伸二
- やのさかしんじ
- 第37回日本伝統工芸展(平成2年度)
東京都知事賞
- 受賞総評美しい斑を持つ栃の木の塊を刳り抜き、その上に漆を拭いて仕上げた台合わせの刳箱である。栃の木独特の斑を拭漆により一層強調し、胴張りのある形態によく融け込んで豊かな量感を見せている。加飾のない刳り抜きだけの仕事はよほど材質を見極め、その材の持つ美しい杢を最大限に生かす一本の線、一つの面をぎりぎり追及しなければ良い作品は生まれない。その意味で、この箱は充分に作者の力を感じ、身近かに置きたい優品である。