• 漆芸
  • 乾漆盛器

  • かんしつもりき
  • 小山 光秀
  • こやまみつひで
  • 第36回東日本伝統工芸展(平成8年度)
    奨励賞
  • 技法
    乾漆
  • 受賞総評
    器の形を作る時に漆で麻布を貼り重ねてゆく乾漆の技法は中国では紀元前、日本でも奈良時代にすでに●(乾漆)鉢等が出来て、古くから現在に引き継がれた技法である。乾漆は形が自在になるところから近年作家達に好まれる技法となっている。作者は乾漆作品を新作展に発表して今年で十年になる。乾漆というと輪花という固定した概念と自分の殻を打ち破りたいという意欲からこの盛器の形が出来た。朱色は黄口朱と淡口朱を交ぜたもので中央の暈し部分には透漆を使う。特に中央部分が黒く見えるのはこの透漆を何回も塗った為である。朱色の発色は塗って乾固させるたびに異る程微妙なものである。又刷毛目も立ちやすい。その朱漆と透漆による暈しは朱漆と黒との暈しより難しい。意欲的で挑戦的な作者の意図はこの作品の衒いの無い形と色と呂色仕上げによって柔げられて漆芸作品のある良い面を伝えることができる。
  1. 公益社団法人 日本工芸会