- 陶芸
花水木文筥
- 大谷 昌拡
- おおたにまさひろ
- 第29回東海伝統工芸展(平成10年度)
名古屋市教育委員会賞
- 受賞総評蓋物の内外に“花水木”が花開き、多様な陶技が織りなす優品です。おもての花には「釉裏紅」を、葉には、「鉄絵具」を用い、内面は「呉須」で描いています。
成形と文様に正攻法で取り組んで来た作者は、今回、更に作品の奥行きを求めて絵具の濃淡に心を配り、近景には必要な部分に「鉄砂」の描線を入れました。そして遠景の葉は「ダミ筆」でほのかに描き、モチーフを包む空気までもを表現しようとしています。また、独自な土の調合によって、磁器には珍しく釉面に細かい「貫入」を生み、一層雰囲気を和らげています。
真摯な試みの積み重ねが、着実に成果を上げています。