- 人形
静
- せい
- 藤嶋 叡子
- ふじしまえいこ
- 第44回東日本伝統工芸展(平成16年度)
東日本支部賞
- 受賞総評山並みに囲まれた、静かな湖面から浮き上がって来たかに見えるこの作品は、
桐材を彫刻して形を作り、顔、手足は胡粉仕上げである。
衣服は、作者独自の考案による木彫の上に薄い綿布地を木目込み、上塗り胡粉に青系の
顔料を加え、全体に塗り、作者のイメージの山々の景色を彩色、
その上に目の粗いチュールを貼り込む。形の上ではスカートの襞の処理が上手く、
胸元のフリルが現代ファッションを垣間見せている。この人形の制作技法は、一番古い
伝統の技で、こうした形で後の世代に伝えてゆく義務を感ずる。
この自然の中で静かに自分を見詰める姿の作品は、確かな技の、美しく優れた秀作である。
(芹川英子)