受賞総評

時の流れの早さに今は見失いがちな季節の僅かな移ろいの気配を、自然でさりげない形の中に余すところなく表現し、萩の葉型の小さな判を濃淡に押して作られた文様が涼やかで楚々とした女性像を一層引き立てている。
木芯に桐塑で造形し、自染の和紙を貼って仕上げたこの技法の持つ独自のやわらかさが豊かな情感を品良く、すっきりとまとめている完成度の高い作品である。