- 陶芸
象嵌長壺
- 松平 順彦
- まつだいらよりひこ
- 第24回東海伝統工芸展(平成7年度)
中部近鉄賞
- 技法象嵌
- 受賞総評静かな月夜の森。夜鶯の声が聞こえてきそうです。作者の情念でしょうか、胎内体験の滲出でしょうか。
心の動きのままに鉛筆を走らせる。
そのパターンは融通無碍でありながら、緻密に試された数種の色土の嵌め込みで表現されて、静諡で抑えたハーモニーを奏でている佳作です。
本体は作者独自のモミガラによる炭化と顔料混入による黒陶。均整のとれたシルエットの上に寡黙な肌を見せています。
充分錬成した技法を駆使しつつ、自らの内的世界を探る、という作者の堅実な姿勢に共感を覚えます。