1.主旨
我が国には、世界に卓絶する工芸の伝統がある。伝統は、生きて流れているもので、永遠に変わらない本質を持ちながら、一瞬もとどまることのないのが本来の姿である。
伝統工芸は、単に古いものを模倣し、従来の技法を墨守することではない。伝統こそ工芸の基礎になるもので、これをしっかりと把握し、父祖から受け継いだ優れた技術を一層錬磨するととともに、今日の生活に即した新しいものを築き上げることが、我々に課せられた責務であると信ずる。
昭和25年、文化財保護法が施行され、歴史上、もしくは芸術上特に価値の高い工芸技術を、国として保護育成することになった。私どもは、その趣旨にそって、昭和29年以来日本伝統工芸展を開催してきた。
このたび、平素の研究の成果をあつめ第40回展を開き、ひろく人々の御清鑑を仰ぎ、我が国工芸の健全な発展に寄与しようとするものである。
2.主催・後援・会場
開催地 | 主 催 | 後 援 | 会 期 | 会 場 |
---|---|---|---|---|
東京 | 文化庁 東京都教育委員会 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1993年 5月21日(火) I 10月 3日(日) | 三越本店 |
名古屋 | 愛知県教育委員会 愛知県 名古屋市教育委員会 名古屋市 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1993年 10月 6日(水) I 10月11日(月) | 名古屋三越店 |
京都 | 京都府教育委員会 京都市 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 京都府 京都市教育委員会 | 1993年 10月21日(木) I 10月26日(火) | 高島屋京都店 |
金沢 | 石川県教育委員会 NHK 朝日新聞社 北國新聞社 日本工芸会 | 文化庁 富山県教育委員会 福井県教育委員会 | 1993年 10月29日(金) I 11月 7日(日) | 石川県立美術館 |
大阪 | 大阪府教育委員会 大阪市教育委員会 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 2000年 11月10日(水) I 11月15日(月) | 三越大阪店 |
岡山 | 岡山県教育委員会 岡山県立美術館 岡山市教育委員会 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1993年 11月18日(木) I 12月 5日(日) | 岡山県立美術館 |
高松 | 香川県教育委員会 香川県文化会館 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1994年 1月 8日(土) I 1月23日(日) | 香川県文化会館 |
広島 | 広島県教育委員会 広島県立美術館 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1994年 1月25日(火) I 2月 6日(日) | 三越広島店 |
福岡 | 福岡県教育委員会 福岡市教育委員会 福岡市 NHK 朝日新聞社 日本工芸会 | 文化庁 | 1994年 2月 9日(水) I 2月14日(月) | 福岡天神岩田屋 |
仙台 | 宮城県教育委員会 仙台市教育委員会 NHK 朝日新聞社 河北新聞社 日本工芸会 | 文化庁 宮城県 仙台市 | 1994年 3月 1日(火) I 3月 6日(日) | 三越仙台店 |
浦添(特別展) | 沖縄県教育委員会 浦添市教育委員会 浦添市美術館 NHK 朝日新聞社 沖縄タイムス社 日本工芸会 | 文化庁 沖縄県 浦添市 | 1994年 3月16日(水) I 3月28日(月) | 浦添市美術館 |
日本伝統工芸展規程(抄)
(主 催)第4条 | 本展は、文化庁、東京都教育委員会、NHK、朝日新聞社及び財団法人日本工芸会が共同して開催する。 |
(運営委員会)
第5条 | 本展を総理するために、日本伝統工芸運営委員会(以下「運営委員会」という。)を置く。 |
2 | 本展の業務を推進するために、運営委員会に日本伝統工芸実行委員会(以下「実行委員会」という。)を置く。 |
3 | 運営委員会の細目については、別に定める「日本伝統工芸運営委員会規則」による。 |
(部会構成)
第7条 | 本展は、作品の種別によって次の7部会に分ける。 第1部会 陶芸 第2部会 染織 第3部会 漆芸 第4部会 金工 第5部会 木竹工 第6部会 人形 第7部会 その他の工芸(硝子、七宝、截金、硯等) |
(陳列作品)
第8条 | 本展に陳列する作品は、すべて鑑査のうえ決定する。ただし、遺作については、出品を委嘱して陳列することができる |
(出品作品)
第9条 | 本展に出品することのできる作品は、次の条件を具備する作品となる。 1.本展の主旨にそうものであること 2.自己の制作したものであること 3.制作後3年以内のものであること 4.未発表のものであること |
(出品申込)
第10条 | 開催要項3、(1)、(2)参照のこと。 |
(題名等の明示)
第13章 | 出品作品には、作品の裏面のその他適当な個所に、 題名及び作者氏名を明記した紙片等を付さなければならない。 |
(輸送搬入)
第16条 | 出品作品を輸送により搬入する場合は、荷造表装に「日本伝統工芸展出品作品」と朱書きしなければならない。 |
(出品作品の受理)
第17条 | 出品作品を受理したときは、引き換えに預り証を交付するものとする。 |
(受理作品の保管)
第18条 | 受理した作品は、受理したときから返品するまで、 実行委員会がその保管の責めを負うものとする。ただし、不可抗力によって生じた損害については、その責めを負わない。 |
2 | 受理した作品は、実行委員会の許可なくして搬出することはできない。 |
(賞の種類)
第29条 | 出品作品のうち特に優秀なものに対し、左の通り賞を贈る。 ただし、重要無形文化財保持者、鑑・審査委員及び特待者の作品は賞の対象としない。 ◎日本工芸会総裁賞 1点 ◎東京都知事賞 1点 ◎日本工芸会会長賞 1点 ◎高松宮記念賞 1点 ◎NHK会長賞 1点 ◎日本工芸会保持者賞 1点 ◎文部大臣賞 1点 ◎朝日新聞社賞 1点 ◎日本工芸会奨励賞 5点 |
2 | 前項ただし書の規定にかかわらず、日本工芸会保持者賞は、重要無形文化財保持者及び審査委員以外の鑑査委員並びに特待者の作品のみを対象とする。 |
(陳列作品以外の作品の搬出)
第39条 | 陳列作品以外の作品の搬出については、本展の開会までに、搬出の期日、場所等を実行委員会が出品者に通知する。 |
2 | 搬出は、出品者が預り証と引換えに行うものとする。 |
(作品の返送)
第40条 | 期間内に搬出されないものは、着払い(荷造輸送費及び保険料)をもって返送する。 |
鑑・審査委員情報
(おことわり)
お名前の表記にあたって、第2水準にない漢字はカタカナとなっています。
第四十回 日本伝統工芸展 第一次鑑査委員
(敬称略)
委員長
飯塚小カン斎
1 陶芸
乾 由明 京都大学名誉教授
中ノ堂一信 東京国立近代美術館主任研究官
南 邦男 ○ 工芸評論家
今泉今右衛門 陶芸作家・重要無形文化財保持者
清水卯一 陶芸作家・重要無形文化財保持者
鈴木 藏 陶芸作家
松井康成 ◎ 陶芸作家・重要無形文化財保持者
2 染織
石村速雄 東京国立近代美術館主任研究官
小笠原小枝 東京国立博物館調査員
北村哲郎 ○ 工芸評論家
北村武資 染織作家
福田喜重 染織作家
松原利男 ◎ 染織作家
森口邦彦 染織作家
3 漆芸
灰野昭郎 京都国立博物館普及室長
柳橋 眞 ○ 金沢美術工芸大学教授
吉村元男 関西学院大学教授
太田加津子 漆芸作家
田口善国 ◎ 漆芸作家・重要無形文化財保持者
砺破宗斉 漆芸作家
前 史雄 漆芸作家
4 金工
鈴木友也 ○ 工芸評論家
樋田豊次郎 東京国立近代美術館主任研究官
吉岡庸治 MOA美術館長
角谷征一 金工作家
金森映井智 ◎ 金工作家・重要無形文化財保持者
田中正幸 金工作家
渡辺 正 金工作家
5 木竹工
河田 貞 帝塚山学院大学教養学部教授
木内武男 ○ 工芸評論家
白石和己 東京国立近代美術館工芸課長
飯塚小カン斎 ◎ 竹工作家・重要無形文化財保持者
大野昭和斉 木工作家・重要無形文化財保持者
川北良造 木工作家
前田竹房斎 竹工作家
6 人形
内山武夫 京都国立近代美術館学芸課長
長谷部満彦 福島県立美術館長
橋本澄子 東京国立博物館名誉館員
秋山信子 ○ 人形作家
重田千恵 人形作家
芹川英子 ◎ 人形作家
前田金彌 人形作家
7 その他の工芸
荒川浩和 ○ 元東京国立博物館工芸課長
友部 直 共立女子大学教授
東山健吾 成城大学文学部教授
江里佐代子 截金作家
白幡 明 ◎ 硝子作家
中村雅明 象牙作家
山本仲子 七宝作家
第四十回 日本伝統工芸展 第二次鑑査委員
(敬称略)
植木 浩 委員長 東京国立近代美術館長
大場松魚 副委員長 漆芸部会長・重要無形文化財保持者
河北倫明 副委員長 美術評論家
飯塚小カン斎 木竹工部会長・重要無形文化財保持者
犬丸 直 日本芸術院長
清水卯一 陶芸部会長・重要無形文化財保持者
芹川英子 人形部会長・第一次鑑査会人形部会鑑査主任
富山秀男 京都国立近代美術館長
根来茂昌 金工部会長
松原利男 染織部会長・第一次鑑査会染織部会鑑査主任
山本 曠 その他の工芸部会長・第一次鑑査会その他の工芸部会鑑査主任
松井康成 第一次鑑査会陶芸部会鑑査主任
南 邦男 第一次鑑査会陶芸部会鑑査副主任
北村哲郎 第一次鑑査会染織部会鑑査副主任
田口善国 第一次鑑査会漆芸部会鑑査主任
柳橋 眞 第一次鑑査会漆芸部会鑑査副主任
金森映井智 第一次鑑査会金工部会鑑査主任
鈴木友也 第一次鑑査会金工部会鑑査副主任
木内武男 第一次鑑査会木竹工部会鑑査副主任
秋山信子 第一次鑑査会人形部会鑑査副主任
白幡 明 第一次鑑査会その他の工芸部会鑑査主任
荒川浩和 第一次鑑査会その他の工芸部会鑑査副主任
第四十回 日本伝統工芸展 審査委員
(敬称略)
河北倫明 委員長 美術評論家・第二次鑑査会副委員長
植木 浩 東京国立近代美術館長・第二次鑑査会委員長
大場松魚 重要無形文化財保持者・第二次鑑査会副委員長
角谷一圭 重要無形文化財保持者
志村ふくみ 重要無形文化財保持者
嶋崎 丞 石川県立美術館長
鈴木 進 美術評論家
寺井直次 重要無形文化財保持者
林屋晴三 工芸評論家
細川護貞 日本工芸会会長
増田三男 重要無形文化財保持者
森口華弘 重要無形文化財保持者
安嶋 彌 日本工芸会理事長
山崎富治 山種美術館長
松井康成 第一次鑑査会陶芸部会鑑査主任
松原利男 第一次鑑査会染織部会鑑査主任
田口善国 第一次鑑査会漆芸部会鑑査主任
金森映井智 第一次鑑査会金工部会鑑査主任
飯塚小カン斎 第一次鑑査会木竹工部会鑑査主任
芹川英子 第一次鑑査会人形部会鑑査主任
白幡 明 第一次鑑査会その他の工芸部会鑑査主任