技法

泥七宝

受賞総評

作者は吹屋紅柄（岡山県吹屋地方産の酸化第二鉄）に強い執念を抱いて作品に取り組んでいる。この作品は、吹屋紅柄使用の赤地色の中にシャープな線で二面を区画し、微妙なグラデーション地に真鍮線で画かれた黒椿の花が施され、個性的な強い印象を与える。七宝の肌は泥七宝特有の艶を成し、色彩の選択と構図が成功して全体の形によく調和している。泥七宝の長所を充分に醸し出し円熟した技の深さを感じさせる佳作である。（高橋通子）