
- 染織
花絽織着物「春の雪」
- 磯 緋佐子
- いそひさこ
- 第30回東海伝統工芸展(平成11年度)
名古屋市教育委員会賞
- 受賞総評「花」とは、「浮織」の一種で紋様を織りだす技法であり、「絽」とは、「綟織(もじりおり)」の一種で透かしの効果のある技法です。これらの併用に経緯絣(たてよこかすり)も加え、極めて高度な織技術と時間を要する織物となっていますが、それぞれの技巧が前に出ることなく調和を保ちつつ、作者の感性で格調高くまとめられた優作です。
「浮織」で雪片、「絽織」は薄氷、薄墨色の経ぼかしは淡雪か、そこに萌木色の十字絣は、春を待つ新芽かと、題名からいろいろとイメージが広がります。
作者が長年追求してきた「花絽織」が、今、実を結んだという感です。