
- 木竹工
楓拭漆箱「皓月千里」
- かえでふきうるしはこ「こうげつせんり」
- 須田 賢司
- すだけんじ
- 重要無形文化財保持者
- 第53回日本伝統工芸展(平成18年度)
朝日新聞社賞
- 受賞総評長六角の蓋身ともに、年輪に直角の整った縮みと白さが際立つ楓の稀有な材である。真っ黒な黒柿1本の線でかき分けられた天板と側板の広やかさが美しく、また拭漆の蓋と身の黒白が対照を成している。蓋の短側面に透かして見える身の装飾は、水面の月明かりか、黒柿と銀光りする楓材の木画である。腰に回された細いシャム柿材には象牙の小円が埋め込まれ、上方と下方を分けて建築的な装いを印象付けている。中国・洞庭湖の畔、月の明かりが千里を照らすという故事を心象に、洗練された造形としている。(諸山正則)