受賞総評

最初に内籃を「透し網代編み」で成形、その外側に菱文様の切込みを入れた竹を順番により取り付ける計画性の難しさに加え、素材の加工の難しさとが重複する。この「切込み菱文様」技法は一昨年より二ヶ年に亘り文化財保存事業の伝承者養成研修会を受講、修得した技である。内籃の『編み目』と外側に取り付けた「透菱文様」の『組み』が『静と動』を融合させ、調和のとれた格調の高さを醸し出している。手と縁には鳳尾竹を用い全体を円やかに仕上げた優品である。研修会の受講の成果でもある。（安倍基）