
- 漆芸
彩漆蒟醤合子「刻」
- さいしつきんまごうす「こく」
- 鵜飼 敏伸
- うかいとしのぶ
- 第31回日本伝統漆芸展(平成25年度)
東京都教育委員会賞
- 技法蒟醤
- 受賞総評合子は、蓋付きの容器。素地は科材(しなざい)の積層。刻とはきざむという意味であるが、特に時を刻むということを意識したという。時間の経過によって、さまざまな物象が変化していくことを、同心円状に筋を入れた波文で表現している。蓋表の同心円状の3本の線刻は蒟醤で、紫の色で埋め、波文の広がる白と紫の部分は変り塗りで、漆の乾く前にグラニュー糖を蒔き、その後ぬるま湯につけて溶かし、その凹部が点彫りのようになる効果をねらっている。側面は蒔絵で銀地とし、蒟醤で細長い無数の線刻を平行に入れて紫の色で埋めている。(記:住谷晃一郎)