受賞総評

七宝繋文を浮かび上がらせるように、花菱の模様を菅繡と纏繡の確かな技術で刺繡する。古典模様でありながら、そうとは気付かせない清新さを備えている。第一に、真白い生地に色調を変えた紫の刺繡という色彩が、奏功した結果といえる。さらに、格子状に刺繡した花弁の表現が加わり、透明感ときらめきも生み出している。（澤田和人）