
- 染織
畝織着物「檸檬」
- うねおりきもの「れもん」
- 水谷 陽子
- みずたに ようこ
- 第56回東海伝統工芸展(令和7年度)
愛知県知事賞
- 受賞総評まさに素材、技法、色が三位一体となった作品ではなかろうか。
艶ある練糸を槐で爽やかなレモンイエローに染め、白との境の経糸に黒を一本入れている。柔らかな黄と白のグラデーションを黒糸できりりと引き締め、シャープな石畳文様を畝織で織り上げた。水谷は梶井基次郎の『檸檬』を初めて三十代に読み、今また読み返したという。檸檬の色と香りの爽やかさだけではない、ほのかな苦みが浮かびあがる。(齋藤智愛)